天皇賞・秋・GT(1998年11月1日・東京・芝2000m・良);1番人気(1.2倍)競走中止

着順 枠番 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 タイム 着差 上がり 人気 厩舎
オフサイドトラップ 牡8 58 柴田善 1.59.3 36.0 加藤修
10 ステイゴールド 牡5 58 蛯名 1.59.5 1+1/4 36.0 池江
サンライズフラッグ 牡5 56 安田康 2.00.0 3 36.0 安田伊
サイレントハンター 牡6 58 吉田 2.00.0 アタマ 37.2 大久保洋
メジロブライト 牡5 56 河内 2.00.1 1/2 36.8 浅見
ゴーイングスズカ 牡6 58 南井 2.00.3 1+1/2 35.7 10 橋田
11 ランニングゲイル 牡5 58 四位 2.00.4 1/2 36.6 11 加用
シルクジャスティス 牡5 58 藤田 2.00.4 クビ 36.4 大久保正
テイエムオオアラシ 牡6 58 福永 2.00.9 3 37.2 12 二分
10 ローゼンカバリー 牡6 58 横山典 2.01.0 クビ 35.0 鈴木康
11 12 グルメフロンティア 牡7 58 岡部 2.02.3 8 38.5 田中清
サイレンススズカ 牡5 58 武 豊 競走中止 橋田
単勝 6 4240円
複勝 6 580円
10 300円
8 450円
枠連 5-7 3680円
馬連 6-10 12210円

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○外の出走権がない天皇賞以上にレベルが高かった毎日王冠を制したことで、どんなタイムで、どんな勝ち方を
するのかが注目され、もはや勝つかどうかの興味は殆ど無かった。同型サンレントハンターとの絡みが懸念
されるも、サイレンススズカのスピードについてこれず、約10馬身後方。3番手オフサイドトラップはさらに
約10馬身後方で最後方を進むローゼンカバリーまでは30馬身以上もの差があり誰もが大差勝ちの予感を
させた。4コーナー、それまで軽快なフットワークで走っていたサイレンススズカが急につまづいたように
ブレーキがかかる。故障だ。鞍上武豊騎手は後続との追突防止のためサイレンススズカをゆっくりと外に出し、
事故を未然に防いだ。レースは結局オフサイドトラップが制したが、場内は異様などよめきが漂っていた。
大丈夫なのか?せめて命だけは。。。願い空しくサイレンススズカは左手根骨粉砕骨折で予後不良となった。
転倒落馬してもおかしくない重症なケガであったにもかかわらず、サイレンススズカは脚を引きずってでも
転倒するのをこらえた。

「ボクがケガをしないように、痛いのを我慢して必死に体を支えていたのだろう……」by武豊騎手
「普通、あのスピードであんな骨折したら、もんどりうって大事故になっていたところなのによくがまんしたな、
ユタカを助けたのかなあ思うてね」by加茂厩務員

(C)WEEKEND SURPRISE


●週刊Gallop ドキュメントより
 悪夢・・・
 「死」という結末が待っていようとは、誰しもが予期できなかった。一点のかげりもなく進められていた
サイレンススズカの逃亡劇。14万人の観衆が胸を躍らせているところに、突然、悪魔が襲いかかる。
3コーナーから4コーナーに入る勝負どころ。後続を10馬身近く引き離していた"音速の貴公子"が、
一瞬にしてズルズルと下がってしまった。左手根骨粉砕骨折。異常を察した武豊は馬を抑えるのが
精いっぱいだった。身上のスピードがアダとなった形で、最悪の結末を迎えてしまった。
 「悪夢としか言いようがない。穴ボコもなかったし・・・。体調万全で、リズムも最高。何が原因かなんて
わからない」
 引き揚げてきた武豊の頬は青ざめており、放心状態に近い感じ。その後、検量室でVTRを見るなどして
心の整理はできたようだが、顔色は最後まで蒼白なままだった。
 天皇賞の総売上げは322億3506万5700円。うち、サイレンススズカ絡みの馬券は、他を圧倒していた。
単勝式は61.9%で断然の1番人気。単複連すべてを通じた全体では、何と70.6%を占めて227億5349万8500円
だったから衝撃度も強烈だ。
 END
 「競馬だから、こんなことも・・・。でも残念です」。人気に応え得るだけの状態を作って戦いに挑んだ
橋田調教師のショックは計り知れない。厩舎に向かう時に見せた作り笑いが、なおいっそう悲しみを物語る
かのようだった。診療にあたった藤井良和獣医委員は「骨折の中でも、最も重い骨折です。粉々になって
いました
」と淡々と説明を加えた。
 史上最強の中距離馬として歴史を刻んでいくはずだったサイレンススズカの物語は、本編のなかばで
ジ・エンド。天に昇ってしまった今は、伝説として後世に語り継がれていく